みなさん、軽トラはご存知でしょうか?
存じ上げない方に説明いたしますと、軽自動車規格に合わせて作られた、トラックのことを指します。
実は地味な軽トラですが、隠れた熱狂的ファンが多く存在します。私もその中のひとり…
今回は、私の私的な軽トラの思い出と、軽トラの魅力に関してお話ししたいと思います。
私と軽トラと、時々オトン
筆者が車の免許を取得したのは、19歳のクリスマスの日だった。大学に入学し、教習所に通うもサボりにサボって、リミットとなる9ヶ月目のギリギリに修了したことを記憶している。
最後の1ヶ月は、ほぼ毎日、教習所にいたような気がするな。
そして、免許取り立ての私が、親から借りて乗ることができたのが、軽トラだった。
他の車は、保険の年齢制限で引っかかったので…
このような経緯から、私は軽トラへの思い入れは、いやそんなにないかな…
今回はそんな私と軽トラの思い出を語っていこうと思う。
軽トラとオトン
私と軽トラと父との思い出は、私が中学生の頃にさかのぼる。当時、父は自営業と農業の、いわゆる兼業農家であった。
ある日、私の通う中学校に、父の仕事用の軽トラが止まっていた。たまたま横の通路を歩いていると、父の軽トラは窓全開、鍵すら刺しっぱなしの状態であることに気がついた。
しかも、集金やら伝票やらの入ったポシェットも置きっぱなしで。
すぐに私は、校内にいる父を探し回った。そして見つけるやいなや、説教をした。
当時、私の通っていた中学校はガラが悪く、近所にできたコンビニは万引き多発のせいで、すぐに潰れてしまうような場所だったのだ。
もう少し気をつけい。
私には父との思い出は、このくらいしかない。
軽トラと夏合宿
大学時代。私が所属していたとあるサークルでは、夏休み期間中に合宿があった。
軽トラを借りて荷物を運搬するのだが、何故かいつも私は運転役。他の人はバスで行くのに待遇の差がひどい。
なぜ私が運転?
みんな教習所以来、マニュアル車を運転したことないからだ。
しかしながら、合宿先までは約200km離れている。さすがにもう一人ドライバーをつけてくれた。
体重110kgの大巨漢を。
私と合わせて200kg。人選がおかしい。
(ちなみに帰りは100kgの後輩だった)
軽トラの積載上限は350kgのため、(人は荷物とは別とは言え)すでにその半分を超えている。
明らかに過積載の軽トラで駆り出す。ゆるい上り坂、アクセルべた踏み、時速30km。
(下り坂は止まれなくなるので結局スピードを出せない)
結局、バスより2時間遅れて到着した。
軽トラあるある
ウオオオオォォォアアアンンンン!!!
ある日、道を歩いていると後ろから轟音が聞こえてくる。
そこを通っていくのは、超低速で走る軽トラだった。
なんてことはない。近所のジイさんがギアを2速に入れたまま、軽トラを走らせているだけである。
隣にほっかむりを被ったバアさんを乗っけて、さながらドライブデートのつもりなのであろう。
うるせぇ。
軽トラにはどんな種類がある? 各社を比較
魅力たっぷりな軽トラだが、現在、新車で手に入るのは主に、スズキとダイハツのものである。ホンダは残念ながら、2021年をもって生産を終了した。
他にも各社から軽トラは発売されているが、全てスズキかダイハツのOEMである。そのため、実質2社を比較することになる。
※OEM 他社ブランドとして生産すること。
各社の軽トラのスペックを表にまとめたのでご覧いただきたい。
外観 | |||
メーカー | スズキ | ダイハツ | ホンダ |
車名 | キャリイ | ハイゼット | アクティ |
型式 | 3BD-DA16T | 3BD-S500/510P | EBD-HA8/9 |
エンジン | R06A | KF型 | E07Z |
排気量 cc | 658 | 658 | 656 |
最大馬力 kW[ps]/rpm 最大トルク N•m[kgf•m]/rpm | 34[46]/5,700 59[6.0]/3,800 | 34[46]/5,700 60[6.1]/4,000 | 33[45]/5,500 59[6.0]/5,000 |
燃費 km/L (JC08モード) | 17.6(5MT/2WD) | 19.0(5MT/2WD) | 18.4(5MT/2WD) |
全長/全幅/全高 m | 3,395/1,475/1,765 | 3,395/1,475/1,780 | 3.395/1.475/1.735 |
車両重量 kg | 680 | 740 | 770 |
最大積載量 kg | 350 | 350 | 350 |
価格(税込) | 752,400〜 | 902,000〜 | 836,000〜 |
主要OEM | マツダ スクラム ニッサン クリッパー 三菱 ミニキャブ | トヨタ ピクシス スバル サンバー | ー |
メーカーHP | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
並べてみると、それぞれのスペックに対して各社の特徴が見えてくるはずだ。
積載量については、各社とも350kgである。
米俵は一俵60kgのため、少しはみ出るが六俵のる。みかんのコンテナであれば一杯約20kgのため、17〜18杯のる計算だ。
ちなみに和歌山のとある地域に行くと、みかん入りコンテナを20杯も30杯も乗せて走る車をよく見かける。その地域では、みかんを乗せる軽トラについては治外法権らしい。
【伝説の軽トラ】農道のポルシェ スバル・サンバー
軽トラ愛好家の中で、一つの伝説的な軽トラがある。
それがスバル・サンバーである。
(現在のサンバーはダイハツのOEMで、ダイハツ・ハイゼットと同じ車。今回はスバル独自生産の6代目以前の車の話)
どうして伝説となったか?それは、軽トラという身近な存在でありながら、かの有名なスーパーカー「ポルシェ」との共通点が多く、それ故に『農道のポルシェ』と呼ばれるようになったことに由来する。(参考:Wikipedia)
外観 | ||
メーカー | スバル | ポルシェ |
車名 | サンバー(6代目) | 911 GT3 |
型式 | EBD-TT1/2 | 992 GT3 |
排気量 cc | 658 | 3,996 |
駆動方式 | RR | RR |
最大馬力 kW[ps]/rpm 最大トルク N•m[kgf•m]/rpm | 35[48]/6,400 58[5.9]/3,200 | 375[510]/8,400 470[47.9]/6,100 |
燃費 km/L (10.15モード) | 17.2(5MT/2WD) | 7.2(6MT/2WD) |
全長/全幅/全高 m | 3,395/1,475/1,815 | 4,573/1,852/1,279 |
サスペンション方式 | 4輪独立懸架 | 4輪独立懸架 |
車両重量 kg | 730 | 1435 |
最大積載量 kg | 350 | 347 |
価格(税込) | 665,700〜 | 22,960,000〜 |
メーカーHP | 詳細を見る | 詳細を見る |
最大馬力が10倍も違うのに、どうしてサンバーがポルシェとなりえるのか。
特筆すべきは、その駆動方式である。
サンバーとポルシェ、共にRRである。これは、後輪の車軸よりも後方にエンジンを置き、後輪が稼働するタイプを指す。
現代の車であれば、RRは整備性や重量バランスの悪さなどから、ほとんど、採用されない。
近年の車であれば、本当にポルシェかサンバー、そして一部のEV程度である。
ポルシェに関しては、もはや伝統的な意味合いが強い。では何故、サンバーはこの方式を採用しているのだろうか。
それは、軽トラ故のアンバランスな形状の欠点を補うためである。
軽トラは後輪駆動が主であるが、荷物を載せていない時、駆動輪である後輪にかかる荷重が極端に小さい。駆動輪側が軽いため、特に悪路の走行においてはタイヤが空転しやすく、非常にバランスが悪い。
しかし、車における最重量級の部品であるエンジンを後ろに置けば、後輪に荷重を掛けることができる。
そのため、走行安定性が増すのだ。
また、サスペンションにも注目したい。他社の軽トラは基本的に、後輪のサスペンションは左右が車軸で繋がった、リジッドサスペンション構造である。
しかし、サンバーはあえてコストの掛かる独立懸架式を採用している。
一般的な軽トラは悪路を走ると、左右のタイヤが連動するため、衝撃が反対側に伝わったり、接地性が悪く安定性が劣る。しかし、サンバーは左右独立式のため、常に両方のタイヤが地面を捉え続けられるのだ。
もちろん、これもポルシェと同じである。
そんなスバル・サンバーであるが、中古車はプレミアが付き、状態の良いものであれば、なんと新車よりも高い値段となっているものもあるという。
まさに、伝説の車である。
軽トラの魅力は尽きない
ここまで、散々と軽トラの思い出と魅力を語ってきたが、これだけは声を大にして言いたい。
軽トラのオートマは邪道
あと、マニュアルのことミッションで言うのやめてね。
MT=マニュアルトランスミッション
AT=オートマチックトランスミッション
どっちもミッションだからね?
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コメント
コメント一覧 (2件)
軽トラとポルシェと比較して下さってありがとうございます!
「いいちこは下町のナポレオン」
「すばるサンバーは農道のポルシェ」
テストに出そうなので暗記しました。
畦道のにおい、思い出すなぁ!!
よるもあ様
コメントありがとうございます!
『フェラーリのデザイナーがデザインしたヤンマーのトラクター』もお忘れなく!
田舎者は雨が匂いでわかります。